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【産婦人科医監修】「生理後妊娠」とは?生理から2週間で妊娠可能かなどを専門家が解説

在宅ワーママのパンナさんは、1人目を出産した後「できれば年子で2人目を授かりたいなぁ」と思い、妊活をしていました。

でもなかなか授からず、周期通りに生理がくる日々…。なかば「年子の夢」をあきらめていたとき、生理から2週間後に生理1日目ほどの出血が!

 

以前「卵巣嚢腫」で手術経験があったパンナさんは、「私、病気かもしれない…と、不安になり病院を受診。ドキドキして診察結果を待っていると、お医者さんから「妊娠していますよ」といわれ、驚きすぎてうまく返答できなかったという経験をしました。

 

 

その後、ネットなどで検索したところ自分のようなケースは「生理後妊娠」とよばれていることがわかったそうです。

そこで、多くの妊婦さんの診察を行っている田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生に生理と排卵、妊娠のしくみや、パンナさんが体験した「生理後妊娠」とはどんな状況かなどについて教えていただきました。

 

Q: パンナさんが経験した「生理後妊娠」とはどんなことでしょうか。

A: 医学用語ではなく、ネットなどで使われている言葉のようです。

 「生理後妊娠」は医学用語ではありません。そのため、正しくはどういった状況をさしてネットなどで「生理後妊娠」と使われているのかは、わかりません。

ただ、通常の生理周期から考えると、パンナさんの「生理終了後2週間で出血」→「妊娠判明」というのは、考えられません。

 

Q: では、まず通常の生理周期についてお教えください。

A: 28日周期の場合、生理初日から数えて14日目に排卵。排卵から14日目に次の生理初日が来ます。

生理周期が28日周期の場合、生理初日から14日目前後に排卵が起こります。ちなみに生理周期が30日周期だと排卵が起こるのは16日目となります。

妊娠するには、排卵された卵子と精子が卵管で出会って受精する必要があるため、妊娠したいなら排卵予測日の約4日前~1日後の5日間に性交渉をするといいでしょう。

特に「排卵日の2日前」はもっとも妊娠しやすい日といわれています。その理由は、卵子と精子の寿命の違いにあります。排卵された卵子は、24時間以内に受精しないと死んでしまいます。一方、精子は、女性の生殖器内で3日ほど生存可能。そのため、排卵が始まる数日前から排卵直後までの間に、複数回性交渉すると、妊娠する確率を高めることができます。

ただ月経周期は個人差があり、ちょっとした体調の変化でも変動します。

※妊娠0~5週までに妊婦さんの体内ではどんなことが起こっているかは、ページ最後にある関連記事:「妊娠超初期」をご覧ください

 

Q: 自分の排卵日を把握するにはどうしたらいいでしょうか。

A: 市販の排卵検査薬や、基礎体温を毎日測ることで把握できます。

できるだけ具体的に排卵日を特定したい場合は、市販の排卵検査薬を使って調べるのがいいでしょう。

また、基礎体温をつけるのも排卵日を把握する方法の1つです。

生理周期が正常な場合、生理初日から排卵日直前までが低温期。その後一度ガクンと低下することがあり、そこが排卵日となります。排卵日を過ぎると高温期に。次の生理が来る直前まで続き、再び低温期になります。

もし排卵日で受精、妊娠した場合、次の生理予定日を過ぎても高温期がキープされることになります。

 

Q: 上記のことをふまえると、普通、生理終了後2週間で妊娠が判明すること無いでしょうか。

A: 通常であれば着床するくらいの時期なので、妊娠しているかはわかりません。

パンナさんが妊娠5週といわれた「生理終了後2週間」というのは、いわゆる生理初日から21日目(3週間後)ぐらいです。

この時期は受精卵が子宮にたどりつき、着床するかしないかぐらいの時期になるので、妊娠成立しているかはわかりません。

 

Q: では、なんらかの認識違いがあると思いますが、どのようなことが考えられますか。

A: パンナさんが生理だと思っていたものが、違う原因による出血の可能性があります。

パンナさんが「生理終了後2週間」と思っていた時期にお医者さんに「妊娠5週」といわれたことを考えると、パンナさんが生理だと思っていた出血は、「排卵期出血」の可能性が考えられます。

これは、排卵期にホルモンの一種であるエストロゲンの量が大きく変動。そのために子宮内膜の一部内膜がはがれ落ちるために起こる出血です。

出血の量も個人差があり、おりものにうっすら血が混じる程度の人もいれば、通常の生理ほど出血する方もいます。期間もまちまちで数日間出血が続く場合もあります。

また、今まで排卵期出血が無かった場合でも、急に起こる可能性はあります。

その他、生理だと思っていた出血が原因不明の不正出血だったということも、可能性としては低いですが、ありえます。

 

Q: ではパンナさんが「生理終了後2週間で出血」といっている出血は、どんなことが原因と考えられますか。

A: 切迫流産による出血の可能性があります。

受診するきっかけとなった出血をしたときは妊娠5週。そこから考えると、この出血は切迫流産による出血の可能性があります。

切迫流産とは「流産しそうな状態」なので、出血がみられたら安静にすごすことをおすすめします。

 

Q: 今回のパンナさんのようにイレギュラーな時期に出血があった場合はどうしたらいいでしょうか。

A: 妊娠の可能性が有る場合は、市販の妊娠検査薬で検査を。その結果によって産婦人科を受診してください。

ご自身で何による出血か判別するのは難しいですよね。

そのためまずは妊娠の可能性があるかを確認してください。

妊娠の可能性があって出血量が大量でない場合、自分で妊娠検査をしてみるといいでしょう。

妊娠検査薬が陽性なら、まずは受診をしてみましょう。妊娠しているときの出血はすべて異常やトラブルのサインと考えてください。

妊娠検査薬で陰性だった、もしくは妊娠の可能性が無い場合は、ホルモンの影響による一時的な出血の可能性が高いです。1~2カ月出血の量や時期など様子を見てから受診してもいいでしょう。しばらく様子を見るのが不安な場合もあるでしょう。そんなときはひとりで悩まず、医療機関に相談してみてくださいね。

また、妊娠検査薬を使う際は、用法や検査時期をきちんと守ってつかうことが大切です。検査可能期間より早めに検査をすると正しい結果が得られないこともあるので、注意するようにしましょう。

 

 

 

 

 

杉山太朗先生

医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。

 

2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。