長女を妊娠したときはフルタイムの正社員として勤務していたため、妊婦検診への行きやすさから、土曜日も診察してもらえるクリニックへ通っていました。
そこは検診しかできないので、妊娠4カ月で隣町にある大学病院に分娩予約を取ることに。
診察当日、初めての病院ということもあって、いつも以上に緊張していたのを覚えています。
でも、いざモニターに赤ちゃんの姿が映し出されると、そんな不安もどこへやら。
以前より大きく成長した赤ちゃんの姿をうれしく思って見ていました。
全身画像に続き、ぐっとアップになった赤ちゃんの姿。
背骨のカーブもしっかり見えるようになりました。
すると、何やらカーテンの向こうで看護婦さんとひそひそ話す先生の声。
「背骨…隙間が…○○先生を急いで呼んで」
全部は聞き取れなかったものの、声のトーンや他の先生を呼んでいることから、良い話でないことはわかりました。
「お母さん、すみません。これ見えますか? 赤ちゃんの背骨の後ろに隙間が少しあるんですね。ここに大きな隙間があると、先天的な異常があることもあって…。ただ、必ずしも隙間があるから異常が出るというわけではなく、成長過程で隙間がなくなり、問題ない場合も多いんです。僕じゃ正確な判断がつかないので、今エコーに詳しい先生を呼んだので、ちょっと待っててくださいね」
(え? 今、なんて…? 先天的な異常って、どういうこと…?)
さらりとした口調で伝えられましたが、「先天的な異常」という言葉がどれほど重大なことなのかはわかります。
エコー専門の先生が来るまで、恐らく数分だったと思うのですが、とても長い時間に思えました。
ようやくやってきた別の先生は、挨拶もそこそこにエコーの角度を変えながら、念入りに赤ちゃんの背骨の周りをチェックします。
その結果、「背骨の隙間自体は2ミリとそれほど大きくなく、お母さんの年齢も25歳と若いので、恐らく問題ないと思いますが…もし希望があれば、先天性異常を調べる検査を受けることもできます」とのこと。
その後の問診で、検査の概要や費用、メリット・デメリットなどを聞きましたが、半ば放心状態で聞いていました。
覚えているのは、検査の費用がかなり高額で、検査をしても異常の有無が100%わかるものではないということ…。
帰宅後、ネットで色々なサイトを見て、必死で情報を集めました。
医学論文を読んで年齢によって異常の出る割合を数値として見たりもしました。
そして、命を生み出す責任を重く感じ、子どもの将来を案じて深く悩み、苦しみました。
妊娠に気づく前にレントゲンを受けたり、お酒や風邪薬を飲んでしまったこともあったので、それが原因で異常が出たんじゃないかと不安で不安で…。
決断するまでの1週間、何度も泣きました。
でも、最終的には「大丈夫。どんな子でも俺達の子供だから、精一杯愛して育てよう」という旦那の言葉で、検査はせずに生むことを決意しました。
年下でいつもは少し頼りない旦那ですが、その言葉に、あぁこの人を選んでよかった、と心の底から思いました。
生まれた子に先天的な異常は見つかりませんでしたが、この時に夫婦で親になる覚悟ができたことは、その後の子育てを乗り越える上でも、とても良かったと思っています。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
妊娠時期別記事
著者:saya
年齢:31歳
子どもの年齢:6歳0ヶ月、2歳0ヶ月
1983年生まれのイノシシ年。だからかは知らないが、「猪突猛進」という言葉がぴったりな、行動力だけが取り柄の熱い性格に。2009年に長女、2013年に次女を出産。趣味は写真撮影&フォトブック制作。産後は子どもたちの写真を撮ることがもっぱら多くなり、今は次女の寝相アート撮影にハマっている。
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