1人目がおなかにいた妊娠8カ月の頃、病院でもらったパンフレットを見ながらおっぱいの出が良くなるようマッサージをしていたリコロコさん。興味本位でおっぱいを絞ってみたところ「血」が出てきてビックリしたそうです。
>リコロコさんの投稿記事:おっぱいから血が出てきた!妊娠中から悩まされた「血乳」トラブル<前編> by リコロコ
妊娠中におっぱいを絞っていきなり「血」が出てきたら不安になってしまう人も多いと思います。
そこで日々、多くの妊産婦さんを診察している田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山先生に、血乳が出る理由や、もし血乳が出た時はどうしたらいいのか、防ぐ方法はあるのかなどについて解説してもらいます。
Q:妊娠中におっぱいを絞ったら「血」が出た原因はいったいなんでしょうか。また、リコロコさんのような妊婦さんは多いのでしょうか。
A: 妊娠中は、母乳を作る準備として新しい血管ができる、乳腺が発達しはじめるなど、乳房内の構造に変化が起きます。そういった「発達段階」の時期におっぱいを絞るとリコロコさんのように血がまじった母乳が出ることがあります。血は出ますが痛みはありません。
厳密な数はわかりませんが、血乳は妊婦さん全員が経験をするわけではなく、一部の妊婦さんにみられるものです。
Q:リコロコさんは何度か「血乳」が出たことがありますが、不思議と赤ちゃんに授乳している時はなかったと言っています。授乳中は出ないものなのでしょうか。
A:乳腺が発達し、母乳を作る量が増えてくると血乳は無くなっていきます。
そのため赤ちゃんが定期的におっぱいを飲むようになる頃には血乳は出なくなっていることが多いでしょう。
Q:リコロコさんは、2人目の妊娠初期と3人目の断乳後にも「血乳」が出て検査をしていますが、これらの原因も乳腺ですか。
A: 恐らく2人目の妊娠時に血乳が出たのは、妊娠初期に起こるホルモンの変化の影響によるものだと考えられるので、心配ないでしょう。
そして3人目の断乳後の「血乳」の原因は難しいところですが、もしかしたら乳管という母乳が通る管と血管がなんらかの理由でつながり、たまたま血が混じったのかもしれません。実際、この時にマンモグラフィーも生体検査も行い「異常なし」という結果も出ているので、問題はありません。
Q:妊娠中、断乳後に血乳が出た場合、すぐに医療機関を受診した方がいいでしょうか。受診した後、一般的にはリコロコさんような診察の流れになりますか。
A:血乳が出る理由は、リコロコさんのような生理的なもののほかに、乳管内の炎症によるもの、腫瘍(ガン)によるもの、ホルモンの影響に因るものがあります。
また、乳首自体が切れて出血していることもあります。この場合は赤ちゃんに乳首を吸わせるたびに痛みをともなうことが多いので、ご自身で確認してみるといいでしょう。
受診の目安ですが、妊娠中で、数週間のうちに血乳がなくなるようであれば、しばらく様子を見てもいいでしょう。
ただし血乳がしばらく(4週間以上)続くようであれば早めに受診をしてください。
リコロコさんの場合、血液検査の後に生体検査を受けていますが、恐らく若い時からしこりがあり、それに加えて血乳が出たため検査を行ったと考えられます。「血乳が出た」からといって全員が「乳がんの疑いあり→生体検査」とはならないので、安心してください。
Q:血乳が出やすい人のタイプや傾向、血乳を防ぐ方法がありましたらお教えください。
A:血乳が出やすいタイプの人や傾向はなく、誰にでも起こる可能性はあります。また、防ぐ方法も特にありません。ちなみに血乳を防ぐ方法も血乳が出た人がガンになりやすいということもありません。
上記でも述べたように乳がんになると血乳が出ることがあり、妊娠中や授乳中でも乳がんになる可能性はあります。
特に妊娠中や授乳中は受けられる検査が限られているので、見極めるのが難しくなりますが、「ずっと血がまじっている」「母乳がたまった時とは違うしこりがある」など、ご自身で「おかしいな」と感じたら、迷わず産婦人科や乳腺外科を受診するようにしてくださいね。
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杉山太朗先生
医学博士。田園調布オリーブレディースクリニック院長。
2001年信州大学卒業後、東海大学医学部付属病院、東海大学医学部専門診療学系産婦人科講師を経て、2017年に田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。やさしい先生のお人柄とわかりやすくソフトな説明に惹かれ、遠方から通う患者さんも多い。4人のお子さまのパパ。
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