2人の女の子のママである矢沢心さん。第2子を妊娠して、つわりの時期がやっと終わり、安定期である妊娠6カ月に入ったところで、医師から辺縁前置胎盤という診断が。自宅で安静にしながら妊娠後期を過ごしていましたが、出血が続いていたため、8カ月目に入ったところでセカンドオピニオンとして大きな総合病院を受診。すぐに入院することとなりました。今回は第2子妊娠中の入院から出産までのエピソードを伺いました。
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――入院前はどんな状況だったんですか?
どれだけ気をつけていても、お腹の張りがなくても出血するときがあって。お手洗いに行くときが常に怖かったです。出血している感覚がなくても出血していたり。それが5回くらいあったかな。それでセカンドオピニオンとして総合病院で診てもらったほうがいいと主人と話し合って、大学病院に行きました。そうしたら「今すぐ入院してください」って言われたんです。少しの間入院して、症状が落ち着いたら退院して、出産まで家で普通に過ごせるんだと思ったら、「出産までずっと入院です」って。「そういうことなら今すぐは無理です~! さすがにこの状況で長女を家に置いて入院はできません」って話して、延ばし延ばしにしていたんですけど。数日経ったところで、先生から「もうこれ以上待てません。即入院してください」って言われて、8カ月目の終わり頃に入院することになったんです。
――危険な状態だったのですね。
先生からは「命の選択」って言われました。「このままでは胎盤が剥がれて大出血する可能性があって、そのときは母子ともに危険だから」って。自分の考えが甘かったですね。自分は元気だから大丈夫と思っていても、実はそうではなかったんです。
――入院中、お子さんと離れなきゃいけなかったのは辛かったですね。
そうなんです~! それはすごく辛かったです! 初めて長女と離れたのですごい不安だったし、大丈夫かなって心配でした。長女は病院に来るともうすごいがんばってくれて、すごい我慢してくれているのが分かるんです。私のほうがウルッときていましたね。電話で話しても「さみしいよ」とか「悲しいよ」とか言わないんですよ。その声を聞いてまた私が切なくなってしまって……。それが上に生まれた子の宿命と言われればそうなんですけど、でもやっぱり、よくがんばってくれているなと思ったし、私も母として強くならなきゃいけないんだっていうことを教えてもらいました。
――矢沢さんの入院中、お子さんのお世話は魔裟斗さんが?
主人はもちろん、主人のお母さんにも来ていただきましたし、私の実家にもみてもらいました。甥っ子も姪っ子もみんなで遊んでくれて、本当に身内みんなが長女のことを守って、さみしくないようにたくさん遊んでくれたんです。そのおかげで、長女は日に日に私がいない生活に慣れて笑顔が出てきたものの、たまに寝室に籠っていることもあったみたいですね。私の実家に行っているときは「ママのところに行く」って言っていたそうです。でも病室に来てくれると、元気に「バイバーイ!」って言ってすぐに帰ったり、すごくがんばっていたし、私にかなり気をつかってくれました。
――出産は帝王切開だったんですよね。
夜中に生理痛みたいなお腹の痛みがあって、お手洗いに行ったら、8cmくらいの血の塊が出ちゃったんです。お腹が硬くて、脚に血がついていて、すごく怖くて。急いで看護婦さんを呼んだら、「すぐに寝て!」って言われて、病室のベッドのまま「すぐ行きます!」って準緊急の帝王切開になりました。帝王切開って、家族の了承を得ないとできないんですけど、その時、主人が地方に行っていたため、もともとその翌日に先生から説明を受けて承諾書にサインする予定だったんです。でももうそれどころじゃなくて。ちょうど夜に地方から主人が帰ってきたところだったので病院に駆けつけてもらいました。タイミングがよかったですね。その日もし主人がまだ地方にいたらどうなっていたか……。
――帝王切開になる、そのときの矢沢さんの心境は?
ギリギリまで普通分娩がいいなと思っていたんですけど、大学病院に入院した時点で帝王切開になることは覚悟していました。それにプラスして心配だったのは、出血のことですね。主人と輸血は自己血がいいよねって話していたですけど、貧血でなかなか採血できなかったので、とにかく出血が少ないことを祈ろうって。あとはもう先生におまかせするしかないなって感じでしたね。
――無事に生まれたときはホッとしましたね。
出産までどうなるか分からない状況で、すっとドキドキな感じでしたからね。「オギャーオギャー!」っていう泣きの強さを聞いてすごく安心しました。なによりも赤ちゃんが健康で元気で、自分が生きていることを実感して気持ちがラクになりました。
――産後の体調はどうだったんですか?
帝王切開で出産した後のほうがすごく辛かったです! 術後すぐはすごく元気だったんですけど、麻酔でやわらいでいただけだったんだなっていう(笑)。麻酔が切れた後がほんとに痛くて立てなくて、痛み止めを飲んでも痛くて。でも看護師さんからは「歩いてください」って言われて……。腰を曲げてお尻を出っ張らせた状態で、点滴の棒にすがる思いで歩いていました。それなのに次の日には「点滴をはずすから棒なしで歩いてください」って言われて。何も頼りがない状態で歩いて、赤ちゃんを抱っこして、授乳して、オムツを替えてってほんとにお母さんっていうのはすごいなって。私の母も帝王切開で私たち兄弟を生んでいるんですけど、お母さんはすごいと思いながら。とてつもない経験をしたなと思いながら産後を過ごしました。
――傷の痛みはどれくらい続いたんですか?
1週間近くたってやっと落ち着きましたね。入院は、基本は産後5日間なんですが、次女がなかなか母乳を飲めなくて体重が減ってきてしまって。「飲めるまではいてください」って言われて、入院が2~3日延びたんです。出産から9日目で退院しました。
――予定日よりも1カ月早い出産、大変でしたね。
いろいろな経験を通して家族の絆を強めた1年でした。がんばってこの世に生まれてきてくれた次女は元気で、1カ月早く生まれたけど体重も2640gあったので。そういう意味でも感謝感謝でした!
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矢沢心さん
東京都出身。1981年生まれ。女優、タレント。映画からドラマ、バラエティーまで幅広く活躍。2013年に、自身の不妊治療経験を綴った著書『ベビ待ちゴコロの支え方 あきらめない妊活、31のコツ』(主婦の友社)を出版。夫の魔裟斗さんと夫婦でパーソナリティーをつとめるラジオ番組『笑顔のミナモト』(ニッポン放送、毎週木曜21:00〜21:20)を放送中。
矢沢心オフィシャルブログ「コロコロこころ」
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。
撮影/山仲竜也(Q+A) スタイリング/中井綾子(コンテンポラリー・コーポレーション) ヘアメイク/サユリ(ヌーデ) 構成/相馬由子 取材・文/依知川亜希子
[衣装]
ワンピース(RICORDI)¥17000、ピアス ¥12000、バングル〈太〉¥20000、バングル〈細〉¥9000(以上3点ete)
問い合わせ:RICORDI...03-3400-1013/ete...0120-10-6616