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陣痛が見せた幻か。夢に現れた「イケメン舞踏集団」が教えてくれたこと by水谷さるころ

出産予定日が近づき、主治医の先生に「いい加減仕事は終わりにしておいた方がいいですよ」と言われつつ「どうせ生んだ後も仕事するんだし」と、ずるずる仕事をしていた私です(その仕事はスパンの長い、量のある仕事だったので)。


出産予定日の一週間前にちょっとしたお印のようなものがあり、さすがにドキドキして入院バッグを完備し、出産を待っていました(と言いつつ、予定日の3日前まで夜遊びしてたんですけど…)。

出産予定日の2日前は満月だったので「満月ってお産が多いっていうよね。産気づいたりして」なんて言ったりしていました。

すると…本当に2日前の夜にお腹が痛み始めました。

 

痛い…!

ダメだったかー!
母の特異体質は遺伝しなかった!

 

しかし、無痛の予約もしてないし、もはやこのまま進むしかないのである(みんな普通はそうなんだけど!)。

陣痛の始まりは21時くらいで、痛くなっては痛みが引きます。

ドキドキしながら時間を計り始めました。


病院からもらったマニュアルに「痛みが10分間隔になったら病院に電話して下さい」と書いてあったので電話をしました。

その時点で時間は夜の0時。

 

産科の看護師さんは明るく

「10分間隔だとまだ生まれませんから、大丈夫ですー。寝ちゃって下さい。朝になったら外来に来て下さい」


と…。それは朝の9時…え? 後9時間?

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10分間隔だと1時間で6回くらいすごい痛みがくるけど、本当に寝るの?

これで?

病院的にはなるべく夜中のお産は避けたいみたいだけど、私は本当に大丈夫なの?

と、不安なまま布団へ…。

 

しかし迫り来る痛み。

しかし陣痛は実際10分間隔から進まず、確かにまだ生まれないのだろう…となった。でも痛いものは痛い。

10分間隔ですごい腹痛なら普段なら夜間救急行くだろと思いつつ入院の準備は万端にしつつ布団へ入りました。

一応目をつぶって横になり、痛いと痛く無いを繰り返すつつ、だんだんとうつらうつらしてきました。しかし痛みのせいで深くは眠れないせいか常に夢うつつ。そして夢の中でももちろん痛いのです。

 

すると、夢の中にイケメンの男性達が出てきて
「これから痛みを取る方法を教えるね!」
と、突然ワークショップが始まりました。

 

彼らは舞踏集団で、普段はコンテンポラリーダンスをやっているのですが、今日は「ナチュラルな方法で痛みと向き合う方法」を教えてくれるそうです(という設定)。

彼らの言うことには「痛みを取るポーズ」を取り、深い呼吸をしろということでした。
彼らの指導のもと、ポーズをとり、深く呼吸をして、痛みと戦っていました。

 

そして気がつくと本当にそのポーズをとり、深く呼吸をしていました。
眠りつつ、脳内のトレーナーに励まされながら実際に痛みを和らげようとしていたのです。

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夢の中のイケメン舞踏集団のおかげで、無事に朝を迎え、予約していた陣痛タクシーを呼んで朝一で夫と一緒に病院へ向かいました。

病院で一番に診察してもらうと
「子宮口が3センチ開いているので入院です」
と言われてホッとしたのですが
「この感じだと生まれるのは夜の21時くらいかなあ」
といわれました。

ええええ! そんなにかかるの!
この状態が後12時間続くの!?
とまた不安に…。

不安を抱えつつ、入院の手続きを済ませて陣痛室に入ると、そこには「陣痛の痛みの和らげ方」みたいなポスターが貼ってありました。

その中のひとつに!

あのイケメン舞踏集団が教えてくれたポーズにそっくりなものが!!!

もちろん、あらかじめ私がそれをどこかで見ていて頭の中に入っていた、という可能性もあるのですが、夢の中のイケメン舞踏集団に「ありがとう!」と感謝しました。

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そして残りは12時間…では無くもっと長い戦いになるのでした…。続きます。

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著者:水谷さるころ
年齢:40歳
子どもの年齢:2歳

1976年生まれ。イラストレーター・マンガ家。女子美術短期大学卒。「30日間世界一周!(全3巻)」「35日間世界一周!!(全5巻)」「世界ボンクラ2人旅! タイ・ベトナム(全2巻)」発売中。×イチ同士の再婚で現在は事実婚。2014年に出産し男児の母。ブログ「マイル日記」を平日毎日更新中。空手弐段。

【新刊情報】結婚をして離婚。そして再婚に事実婚を選んだ、26歳から36歳までの体験を描いたエッセイコミック「結婚さえできればいいと思っていたけど」(幻冬舎)

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