現在10ヶ月の男の子を育てています。
ちょうど一年前、妊娠8ヶ月の頃は病院のベッドの上でした。
当時実家から2時間ほどのところに住んでいましたが、初めてのことで不安だらけなので、里帰り出産をすることにしました。
出産予定の病院は、里帰り出産の場合20週以降に来院するようにとのことで、ちょうど20週のときに健診を受けました。
そこで初めて「子宮頚管が短め」と言われました。
まだ予定日は先なので、とりあえず地元のクリニックでもう一度診ていただくと、今度は「こんなに頚管長が短い人はうちでは診れない。すぐ里帰りしなさい」
と言われてしまいました。都合をつけていたら23週になり、急いで出産予定の病院へ行きました。
ただの妊婦健診に来たつもりでしたが、先生の口からは
「今から入院できますか?」
と言われました。頭が真っ白になり、そのまま貧血で倒れてしまいました。
看護師さんに助けられ、家族に手続きをしてもらい、訳が分からないまま車椅子で運ばれ、入院生活が始まりました。
最初は「とりあえず絶対安静」で薬はなし。NSTをしてもお腹が張っている様子もなく、「すぐ退院できるだろう」と思っていました。
しかし、27週に入った夜、下腹部に風船が入っているかのように勝手に膨らんではしぼむという初めての感覚が。
「これが張り…?」
先生を呼ぶと、まずルテオニンの飲み薬を出されました。薬を飲むと心臓がバクバクして苦しい。それにお腹は変わらず張っている。ということで、次の日にはルテオニン点滴が開始されました。病室の外も歩行禁止。本格的に「切迫早産で入院」ハードモードな日々の始まりです。
ルテオニンの副作用は私の場合、動悸息切れと手の震えがつらかったです。カタカタ震えて食事が上手く取れず、布団にこぼしては落ち込みました。ルテオニン点滴もあまり効かず、痛いほどの張りが続きます。
流量は30週を過ぎた頃には3A40。これ以上増やせないMAXの量です。
それでもお腹は張り、NSTでは富士山の形の波形が描き出されます。これ、ほぼ陣痛ではないのか。ということで、31週にはマグセントという薬の点滴も始まりました。
検索すると「通称妊婦殺し」なんて出てきます。全身の筋肉を緩める薬だそうで、かなりの低い確率ですが、心臓も止まってしまう人もいるようです。
確かに胸が苦しい。全身がだるい。起き上がれない。私死んじゃうの?と本気でそう思いました。どうしてこんな目に遭わなきゃならないの?
ネットで何か励みになる情報や言葉はないか探しました。切迫で安静にしている妊婦さんあるあるで、私も検索魔になっていたのです…。でも出てくるのは
「赤ちゃんのためなんだから、頑張って当然」
「産んだらもっと大変なんだから。寝てられるのは今のうち」
「食生活が悪いから子宮が冷えて…」
といった内容のものばかり。 妊婦さんの周りは「つらい!」と言ってはいけない雰囲気があり、ハッピーでいるものだという押し付けが溢れています。
でも切迫入院はとてもつらいものです。つらい!と叫んでいいと思います。
頑張って当然ではないです。
本当は大きなお腹を抱えて出産準備の買い物へ行ったり、産後はなかなか行けないであろう映画やレストランに行ったり、楽しく過ごすはずだったのに、こんなに頑張ってて切迫妊婦さんてすごい!
「母親だから」頑張れるなんてことはないです。
実際やってみて、「育児タスクや、赤ちゃんのスケジュールや不安で頭パンクしながら一緒に過ごした時間の分だけ、人は親になれる」と実感しています。
妊娠してるだけでは、しんどいことに耐えられる条件は揃っていません。
寝てられるのは今のうち。確かにそうでした。産んだら死ぬほど寝不足になります。
でも自宅にいる!パートナーがそばにいる!点滴してない!自由に歩ける!突然医師や看護師が部屋に入ってきたりしない!お風呂入れる!好きなもの食べられる!
家、最高です。
そして何より、我が子が腕の中にいます。「産んだらもっと大変」なのではなく、「産んだらまた別の大変さがある」だけで、切迫早産で安静にしている今が楽なわけではないと思います。
とにかく無事に我が子をこの世に送り出したいと思っている妊婦さんは、みんな最善を尽くしています。
自分に原因を探さないでください。私の主治医も、何度聞いても「原因は分からない」とおっしゃっていました。
もう一度書きます。
無事に産みたい妊婦さんは、みんな最善を尽くしています。
切迫になったのは、たまたまそのくじを引いただけです。
私はウテメリン(ルテオニンは途中で白血球が激減する副作用が出て変更になりました)とマグセントのおかげで臨月まで妊娠をキープでき、元気な子を36週で出産しました。
いま頑張っている切迫早産の妊婦さんが、我が子と自分と医療を信じて、その日まで
笑いながら、愚痴りながら、泣きながら過ごして、元気な赤ちゃんと会えますように。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
著者:ぱん
10ヶ月の子がいます。
※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。