妊娠に気付いたのは、すでに妊娠4ヶ月に入ろうとしていたときでした。私はイタリア在住なのですが、もともと生理不順なことと、日本へ一時帰国するタイミングと重なってあまり気にしていなかったのです。
イタリアへ戻り少し経った頃、夫と一緒に生ハムを食べワインを飲んでいたら、急に甘いものが欲しくなりました。そのことを夫に伝えると、すごく驚いた顔をします。それもそのはずで、私は普段めったに甘いものを食べません。「珍しいね」と2人で話していたときにハッとして、ようやく最近生理がきていないと気付きました。
すぐに検査薬を試すと、うっすら陽性反応。それでも半信半疑でホームドクターに相談しに行きました。私のホームドクターはいかにもイタリア人らしいおじいちゃん。私が使用した検査薬を出して「生理がきていないんですが、これって陽性反応ですか?」と聞き終わる前に「いえ~い、おめでとう!」と、おじいちゃんドクターは握手をしてきます。
そしてエコー検査をしてもらい、妊娠を確認しました。改めておじいちゃんドクターにお祝いの言葉をもらい、今後の流れについて話していると「もうすぐ4ヶ月に入るけど、つわりとかなかった?吐き気とかない?」と聞かれ、続けて「ダメだよ、お酒飲んじゃ。あと生ハムもね。野菜も重曹で洗った方が良いよ」と忠告を受けました。
私はそれを聞いた途端に冷や汗が出て、同時に日本で過ごした日々が走馬灯のように流れました。私は日本に帰ると、ほぼ毎日お酒を飲みます。私の両親もお酒好きなので、実家で両親と深酒することもしばしば。更には日本を堪能すべく、マグロやうなぎなど妊婦は注意した方が良いとされる食べ物も食べまくりました。イタリアに戻ったら戻ったで、ワインに生ハムを頬張る日々…。
そういえば、最近やけに二日酔いがひどい上に長引くなと感じていました。これがまさかつわりだったとは…。気付いたときには、ぞっとして激しい後悔に襲われました。おじいちゃんドクターの言葉も途中から覚えておらず、家に帰るなりパソコンで飲酒が胎児にどれだけ悪影響があるのか調べまくりました。
安心したくて、たくさん調べたのですが、調べれば調べるほど、不安になっていきました。お腹の赤ちゃんは大丈夫なのか、ちゃんと無事に生まれてきてくれるのか心配でなりません。もともと、いつか子どもができればいいなと考えていた程度なので、妊娠について詳しい知識もなく、そして知らないことだらけで、余計不安をあおりました。
その後は頻繁におじいちゃんドクターを訪れ、エコー検査をお願いしました。順調に大きくなっていく赤ちゃんを見て、徐々に不安はやわらぎましたが、ふとしたときに心配になります。後悔しても仕方のないことですが「赤ちゃんに何かあったら私のせいだ」という気持ちが常に頭の片隅にあって離れません。
妊娠7ヶ月の頃に、里帰り出産のため日本に帰国しました。お腹もだいぶ大きくなってきて、日本の産婦人科での検査結果も良好だったのですが、赤ちゃんはエコー検査のときなぜか顔を見せてくれませんでした。せめて顔が見られたら、不安も落ち着くと思っていたのに…。
結局、最後まで顔を見ることはできず、生まれてきた姿を見てやっと不安が消えました。今となっては笑い話ですが、当時は本当に不安で恐かったです。
ゼクシィBaby WEB MAGAZINEの記事
妊娠時期別記事
著者:tarako
年齢:20代後半
子どもの年齢:9ヶ月
イタリアで0歳児の育児に奮闘中です!日本との違いに戸惑うこともありますが、基本はのんびり笑って過ごしてます。ストレスがたまったときは、生ハムとチーズを食べまくります。
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